2021年3月、広島県内初のブランド地鶏として発表された「東広島こい地鶏」。東広島市としても、市の名前を冠するブランド産品は初めてです。現在市内では、黒地に白と赤が映えるのぼりもあちらこちらで目にするようになりました。
今回は、この「東広島こい地鶏」と、その雛の生産(種鶏業務)や種の保存(原種鶏業務)を担うGallusJAPAN株式会社をご紹介します。
広島大学×東広島市のブランド産品開発
東広島こい地鶏は、「ロードアイランドレッド」のメスと「広大鶏」のオスを交配させた唯一無二のブランド地鶏。広大鶏は、日本鶏資源開発プロジェクト研究センターで広島大学の都築政起名誉教授を中心に“最上の肉質”をコンセプトに開発された新たなニワトリ品種です。しかも日本で初めて大学がライセンスを保有する鶏です。
この広大鶏を基に新しい地鶏を生み出し、東広島市を新しいブランド産品で盛り上げようと、東広島ブランド地鶏開発振興協議会が誕生。複数種での交配を試すなど3年間の共同研究の末、ついに「東広島こい地鶏」が誕生しました。ロゴマークはひらがなの「こ」と「い」に囲まれた鶏です。
①「濃」とにかく旨味が”濃い”!
②「恋」何度も⾷べたくなる、”恋”しくなる味!
③「来」この地鶏を⾷べに東広島に来て欲しい!つまり、⾷べに”来い”というメッセージ。
④「鯉」「東広島こい地鶏」は⾚い⽻毛を持つ⾚鶏。広島で⾚といえば、やっぱりカープ!カープのように、広島県を代表する地鶏として愛されたい!
“最上の肉質”の広大鶏と、生産性の高いロードアイランドレッドの良いとこどりな東広島こい地鶏。その特徴はしなやかな肉質とほどよい噛み応え、そして濃い旨味です。和牛にも多く含まれるオレイン酸のみならず、特に融点の低いリノール酸を高い割合で含むため、くちどけが良く美味しさをダイレクトに感じます。さらにほかの地鶏と比較しても、アミノ酸を多く含んでいます。
また、疲労回復や認知症予防などの機能性成分もたっぷり含まれています。これらの特徴は、広大鶏(原種鶏)の性質はもちろんのこと、コーンを多く含む飼料に国産の魚粉やα化米、ビール粕や酒粕などをブレンドして与えることで生まれています。
東広島市のふるさと納税では、東広島市にある「おいしい和食 華ごころ」が作る、東広島こい地鶏を使った東広島こい地鶏わっぱめし、こい地鶏備長炭焼が返礼品となっています。良質な脂肪酸と程よい噛み応え、深い旨味が魅力の逸品です。
これまでもこれからも、地域で育てる地鶏
現在は市内複数の事業者で生産し、一般向けにも販売。市内の飲食店でも東広島こい地鶏を使った料理が多く提供されています。
こうして認知を広げてきた東広島こい地鶏を、雛の生産(種鶏業務)や種の保存(原種鶏業務)の面で支える広島大学発ベンチャー・GallusJAPAN代表取締役社長の竹之内惇さんにお話をうかがいました!実は竹之内さんも、日本鶏資源開発プロジェクト研究センターで都築政起名誉教授とともに広大鶏を開発していた研究者のひとり。幼い頃から文鳥やインコなど鳥が大好きで、山口大学農学部獣医学科を卒業後、広島大学大学院へ進学されました。
――生産のこだわりを教えてください!
ブランド地鶏としてJAS(日本農林規格)に決められた条件に基づいて飼育しています。特に、卵から孵化して75日以上飼育する必要があるのですが、東広島こい地鶏は130日以上かけて出荷。人に例えると成人している時期なので、しっかりした肉質になります。かといって固すぎず、ほどよい噛み応えが特徴です。しかも長く飼育することで、地鶏の旨味に関係するといわれるアラキドン酸の割合も増えるのです。
――肉質と旨味が大きな特徴ですね。おすすめの食べ方は?
“最上の肉質”広大鶏と、生産性の高いロードアイランドレッドを良いとこどりしたのが東広島こい地鶏です。スーパーマーケットなどで一般的に市販されている鶏よりは歯ごたえがあるので、ご家庭であれば、切り方(薄くスライス)や、下処理(マリネなど)などにひと手間かけて頂き、おいしくやわらかく召し上がってもらえると嬉しいです。他にも、皮の下の脂が美味しいので、皮目をパリッと焼いたグリルチキンや、カオマンガイのように丸ごと蒸すと、味も脂も逃すことなく召し上がっていただけます。また、カレーなどスパイス料理との相性も抜群です。
――家庭でも食べられるのですね。
現在は、高屋町の仙石庭園で一般向けに販売されていますが、今後は道の駅やお近くのお店で、注文販売ができるように検討しています。ほかにも、酒祭りなどのイベントで屋台飯としてお召し上がりいただける機会もあります。部位別や、お店ごとのレシピで作った唐揚げの食べ比べは大変人気でした。
2025年の酒祭りでも、出店を予定していますので楽しみにしてください。また現在市内の10以上の飲食店でオリジナルの東広島こい地鶏料理を提供されています。
――たくさんの飲食店で提供されていますね!
販売を開始して1年半ほど。市民も事業者の皆さんも、とても多くの方に応援してもらっています。もともとゼロから生み出した地鶏で、生産も飼育も処理も販売も、ノウハウを持っている人はいませんでした。何もないところから連携を始めて、みんなで育ててきた地鶏。様々な役割を持つ人が手をとって新しいものを生み、育てていく、この構図そのものが地方創生であり、持続可能性の高い取組みだと感じています。関係者全員がそれぞれの領域で一生懸命に勉強して、東広島こい地鶏とともに成長してどんどんいいものに育っています。GallusJAPANだけではできなかった、様々な形で応援してくれる方のおかげで成り立っている地鶏です。
――これから東広島こい地鶏はどのように羽ばたいていくのでしょうか。
これからも関係する人全員で育てていきたいですね。お値段が…と言われることも多いのですが、目指すのは利益だけではなく、事業全体の持続性です。さらに多くの方に関係してもらうためにも、経験を重ねて、市民や料理人の皆さんにも信頼してもらえるブランドにしていきます。すでに東京の飲食店からも引き合いも多くあります。市の名前を冠した「東広島こい地鶏」をひとつのツールとして、全国の皆さんに東広島市を知ってもらい、関係人口が増えていけば嬉しいです。そのためにも、価格に納得してもらえる味と品質、信頼をこれからも追求し続けていきます。
【返礼品情報はこちら】
【会社概要】
会社名:GallusJAPAN株式会社
本社:広島県東広島市高屋町高屋堀637-1
主な事業内容:原種鶏・種鶏の育成、地鶏の雛・種卵・成鶏の販売など
【東広島こい地鶏についての詳細】
東広島こい地鶏が食べられるお店:https://higashihiroshima-kanko.jp/shop/?list_type=shop&gourmet=koijidori
東広島こい地鶏のレシピ、処理方法:https://higashihiroshima-kanko.jp/gourmet/koijidori/
東広島こい地鶏についてのパンフレット:https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/material/files/group/186/higashihiroshima_koijidori_panf2025.pdf